#13 スキンケア
- 2024年3月3日
- こどものからだ
今回はスキンケア、つまり肌のお手入れについてのお話です(当院ホームページ『診療内容』小児科診療・非感染外来についてのページも御参照下さい)。
私たちの体を覆う皮膚の表面積は、日本人の成人で平均約1.6㎡とされており、これはおよそ畳1枚分に相当します。
そのため皮膚は『人体最大の臓器』と呼ばれ、外部の刺激から体を守ったり、体内から水分が失われるのを防いだり、体温の調節をしたり、体外からの情報を感知するといった様々な役割を担っています。
皮膚の構造について
皮膚は大きく分けて、「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層から構成されています。
「表皮」は皮膚の最も外側にある厚さ平均0.2mm程度(官製はがき程度の厚み)の薄い膜で、「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層からなります。
表皮の中で一番奥深くにある基底層で次々新しい細胞が作られてそれが分化し、その後徐々に表面に向かって押し上げられて角質層を作り、最終的には垢となって剥がれ落ちます。
この一連のサイクルは “ターンオーバー” と呼ばれ、約40~50日周期ですべての細胞が入れ替わることになります。
「真皮」は表皮の数倍~数十倍の厚さを持つ層で、血管、神経、リンパ管が通っていたり、汗腺や皮脂腺などの付属器があります。
「皮下組織」は厚さ4~9mmの脂肪に富んだ組織で、皮膚の最も内側から表皮と真皮を支えています。
皮膚のバリア機能
皮膚の働きの中で最も重要なものに『バリア機能』があります。
表皮の一番外側にある角質層には、「皮脂」「天然保湿因子」「角質細胞間脂質」が備わっていて、これらの働きにより皮膚は潤いを保つことができます。
そしてレンガ状に積み重なった角質細胞により、体内の水分が外界へ失われていくのを防ぐと同時に、外界から刺激や異物(アレルギーの原因物質や細菌・ウイルスなど)が侵入することをブロックします。
角質層は厚さ約0.02mmと食品用ラップフィルム程度の非常に薄い膜ですが、体の健康を守る上でこのバリア機能は大変重要なのです。
ところが、皮膚が乾燥状態になると角質層内に隙間ができ、体内の水分が逃げやすくなるのに加え、外部から異物が侵入するなどの刺激によって炎症が起こりやすくなります。
これによりかゆみを強く感じやすくなり、皮膚を搔くことで傷がつき、さらにバリア機能が低下する、という悪循環に陥ります。
スキンケアのポイント
皮膚の構造からみると、私たちができるスキンケアは主に “表皮のケア” ということになりますが、大事なのは①洗う、②補う、③守る、の3点です。
● 洗う
皮膚の汚れや汗、アレルギーの原因となりうる物質、細菌・ウイルスなどをしっかり洗い落として清潔を保ちましょう。
添加物が少ない石鹸を使う、石鹸をよく泡立てる、タオルでゴシゴシこすらず手でやさしく洗う、十分に石鹸を洗い流す、熱いお湯は避ける、こすらないように体を拭く、などが大切です。
● 補う
皮膚の潤い成分を補うために保湿剤を塗って、低下した皮膚のバリア機能を回復させましょう。
保湿剤は薄く塗り延ばさず、塗った部分がテカッと光るくらいに、できれば1日2回以上塗るのが効果的です。
「汗をかく夏場は保湿しなくても良いのでは?」と思われるかもしれませんが、大量の汗は皮脂膜を流してしまう上に、汗をかいたまま放っておくと皮膚を刺激して炎症が悪化しやすくなります。
保湿は夏も大切なのです。
● 守る
紫外線を浴びすぎると皮膚の乾燥や炎症につながります。
紫外線量の多い時間帯や場所は外出を避け、帽子や衣類、日焼け止めで対策をしましょう。
また日焼け止めを使った後は、きちんと石鹸で洗い流してから保湿しましょう。
皮膚を良好な状態に保つことは、体の健康にもつながります。
しっかりとしたケアで「最大の臓器」を守っていきたいですね。