#15 2024年4月からの予防接種スケジュール変更点
今回は2024年4月1日から変更になった予防接種スケジュールについてのお話です。
主なポイントは、五種混合ワクチンと15価肺炎球菌ワクチンの定期接種化です。
五種混合ワクチンが定期接種化されました
従来のヒブワクチンと四種混合ワクチン(DPT-IPV)が一体となった、五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が定期予防接種になりました。
このワクチンで予防できる病気は、ジフテリア(D)、百日咳(P)、破傷風(T)、ポリオ(IPV)、ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(Hib)感染症です。
これら5つの感染症を予防するためには、これまでヒブワクチンと四種混合ワクチンをそれぞれ4回ずつ、計8回接種する必要がありましたが、五種混合ワクチンの登場により計4回の接種で済むことになります。
2024年2月以降に生まれた赤ちゃんは通常このワクチンを接種します。
ただし、すでにヒブワクチンと四種混合ワクチンで接種開始している場合には、原則として五種混合ワクチンを接種することはできません。
予防する病気
ジフテリア
百日咳
破傷風
ポリオ(急性灰白髄炎)
ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型(Hib)による感染症
定期接種対象者
生後2か月~90か月に至るまで(7歳6か月を迎える日の前日まで)。
接種スケジュール
1期初回接種
生後2か月~生後7か月に至るまでに接種を開始。
3~8週の間隔(通常4週間隔)をおいて3回接種。
1期追加接種
初回3回接種終了後、6~18か月の間隔をおいて1回接種。
2期
11~12歳の間に二種混合ワクチンを1回接種。
※百日咳の感染予防のため、抗体が低下する就学前に三種混合ワクチン(DPT)を任意接種するのがおすすめです。
主な副反応
注射部位の発赤・しこり・腫れ・痛みといった局所症状
発熱
気分変化
食欲低下
下痢
など
副反応はヒブワクチン+四種混合ワクチン同時接種の場合と大差ありません。
15価の小児用肺炎球菌ワクチンが導入されました
肺炎球菌には90以上の種類があり、肺炎、中耳炎、敗血症、髄膜炎などの原因になります。
小児用肺炎球菌ワクチンは2013年4月から定期接種化されましたが、このワクチンのおかげで肺炎球菌が原因の重症感染症はそれまでに比べて約8割も減少しました。
従来の13価肺炎球菌ワクチン(プレベナー13®)は13種類の肺炎球菌に対して予防効果がありましたが、2024年4月からは原則として、15種類の肺炎球菌に対して予防効果を有する15価肺炎球菌ワクチン(バクニュバンス®)を使用することになりました。
既に13価ワクチンで接種開始されている方も、途中で15価ワクチンに切り替えて接種することができます。
予防する病気
肺炎球菌による細菌性髄膜炎や肺炎などの感染症
定期接種対象者
生後2か月~5歳に至るまで(5歳の誕生日前日まで)。
接種スケジュール(初回接種開始が2~6か月の場合)
初回接種
4週以上の間隔(通常4週間隔)をおいて、1歳までに3回接種。
追加接種
初回3回接種終了後、60日以上の間隔をおいて1回接種。
主な副反応
注射部位の発赤・しこり・腫れ・痛みといった局所症状
易刺激性(ちょっとした刺激で機嫌が悪くなる)
38℃以上の発熱
食欲低下
傾眠
など
副反応は13価肺炎球菌ワクチンの場合と大差ありません。
宇治市にお住まいの方へ
2024年5月1日付で、当院は宇治市の予防接種協力医療機関になりました。
宇治市に住民票がある方が当院で予防接種をされる際、これまでは事前に宇治市の保健推進課に相談が必要でしたが、今後は不要になります。
ただし、おたふくかぜワクチン協力医療機関ではありませんので、1歳代でおたふくかぜワクチンの接種費用助成を御希望の方は、これまで通り宇治市の保健推進課(☎0774-22-3141)に前もってご相談ください。
予防接種は平日午後の非感染外来で
予防接種スケジュールの変更は「進化の証(あかし)」ともいえるのですが、その一方で “わかりにくい” と思うこともありますよね。
そんな時はお子さんの母子手帳を持って当院にお越しください。
どのワクチンが接種可能か、次の予防接種は何か、などお答えいたします。
そして接種の際は、当院平日午後の非感染外来(クリーンタイム)をぜひご利用ください。