#22 こどもへの薬の与え方~内服編③~
今回は、前々回、前回と続いた「お子さんへの飲み薬の与え方について」シリーズの最終回です。
(当院ホームページ『ブログ』「#20 こどもへの薬の与え方~内服編①~」「#21 こどもへの薬の与え方~内服編②~」のページもご覧ください。)
薬剤別飲みやすくなる飲食物
ここでは小児科外来でよく処方されるが、飲みにくいとされる内服薬を取り上げます。
「混ぜると飲みやすくなる」と記載している飲食物を用いても、お子さんにとっては苦みを感じたりして嫌がることがあるので、いろいろ試してみてください。
クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物(クラバモックス®)
薬の分類;β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系抗菌薬
薬の風味;ストロベリークリーム
〇 混ぜると飲みやすくなるもの;
オレンジジュース
ヨーグルト
アイス(チョコ、バニラ)
プリン
✕ 混ぜると飲みにくくなるもの;
りんごジュース
乳酸菌飲料
牛乳
クラリスロマイシン(クラリスドライシロップ小児用®)
薬の分類;マクロライド系抗菌薬
薬の風味;イチゴ
〇 混ぜると飲みやすくなるもの;
アイスクリーム(バニラ、チョコ)
プリン
加糖練乳(コンデンスミルク)
ココアパウダー
ピーナッツクリーム
牛乳
ウーロン茶
メープルシロップ
✕ 混ぜると飲みにくくなるもの;
オレンジジュース
りんごジュース
スポーツドリンク
ヨーグルト
乳酸菌飲料
ジャム
オセルタミビル(タミフルドライシロップ®)
薬の分類;抗インフルエンザウイルス薬
薬の風味;ミックスフルーツ
〇 混ぜると飲みやすくなるもの;
チョコアイス
ココア
オレンジジュース
ヨーグルト(イチゴ、プレーン)
スポーツドリンク
✕ 混ぜると飲みにくくなるもの;
りんごジュース
バニラアイス
乳酸菌飲料
マクロゴール4000(モビコール®)
薬の分類;慢性便秘症治療薬
薬の風味;塩味
〇 混ぜると飲みやすくなるもの;
りんごジュース
スポーツドリンク
乳酸菌飲料
飲むヨーグルト
オレンジジュース
ミルクココア
コーンスープ
みそ汁
✕ 混ぜると飲みにくくなるもの;
水
お茶
ブラックコーヒー
漢方薬
〇 混ぜると飲みやすくなるもの;
クッキークリームアイス
ココア
チョコアイス
プチダノン
✕ 混ぜると飲みにくくなるもの;
オレンジジュース
他の飲ませ方は?
単シロップに混ぜる
単シロップは白糖の水溶液で、アレルギーの有無に関係なく使用可能です。
ガムシロップのように無臭で甘く、薬に加えることにより、薬そのものの味をマスクすることができます。
希望があれば、他の薬剤とともに医療機関で処方を受けられます。
たくさんの量を混ぜると過度に甘くなって飲めなくなるため、混ぜる量には注意しましょう。
作り置きはせず、飲ませる直前に1回分の内服薬だけを混ぜるようにしてください。
服薬ゼリーを使う
服薬補助ゼリー(おくすり飲めたね® など)は離乳中期(生後7~8か月)頃から使用可能とされています。
ぶどう味、いちご味、チョコ味、レモン味、ピーチ味などが販売されています。
抗生物質や漢方薬は苦味が出やすいため、薬の味をしっかり隠せるチョコレート風味のゼリーがお勧めです。
飲ませ方
1.開封後、ゼリーから最初に出てくる水分を捨てる。
2.カップなどの小さな容器にゼリーを入れる。
3.ゼリーの上に粉薬1回分を載せる。
(薬の量が多ければ、分けて載せる。)
4.ゼリーで薬を包み込む。
※このとき薬とゼリーを混ぜないように。
5.スプーンですくって、噛まずに飲み込ませる。
※このとき口の中でモグモグしない。
オブラートを使う
小学生以上であればオブラートを使う手もあります。
オブラートとは、ジャガイモやサツマイモのデンプンから作られた可食フィルムで、味の有無や形状(シート型、立体型)で選べます。
飲ませ方
1.オブラートを1枚取り出し、四つ折りにする。
2.漏斗状に広げて、中に粉薬を入れる。
※このとき薬を多く包み過ぎないように。
3.口をつまんで少しねじる。
4.オブラート全体を一旦水につけて、すぐに飲み込む。
※水につけずに飲むと、オブラートが口の中に張り付いて危険!
やってみよう!「おとな飲み」
3~4歳以上のお子さんであれば、粉薬を水で飲む、いわゆる「おとな飲み」に挑戦しても良いかもしれません。
この方法では薬の味をあまり感じることなく内服できます。
おとなの階段、のぼってみませんか?
飲ませ方
1.水が入ったコップをお子さんに持たせて、たっぷりの水を口に含ませる。
2.粉薬を口の中(下顎の前歯の裏側)に入れる。
※喉の奥に入れるとむせてしまうので注意!
3.ゴクンと飲み込ませる。
おわりに
3回にわたり「お子さんへの飲み薬の与え方について」シリーズとして取り上げたのは、体調が悪いお子さんに薬を飲ませるときの負担を、飲む側・飲ませる側ともに少しでも減らせれば、との思いからです。
それまで薬を飲むことに苦労していたお子さんが、頑張って飲めるようになったら、ぜひ外来受診の際に教えてくださいね。