#30 こどもへの薬の与え方~外用編①~|かとうベビー&キッズクリニック|醍醐駅すぐ京都市伏見区の小児科

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#30 こどもへの薬の与え方~外用編①~|かとうベビー&キッズクリニック|醍醐駅すぐ京都市伏見区の小児科

#30 こどもへの薬の与え方~外用編①~

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今回は、お子さんへの外用薬の与え方について、です。

外用薬(がいようやく)とは、「皮膚や粘膜に直接塗ったり貼ったりして使う薬」のことです。

具体的には、

塗り薬(軟膏、クリーム、液剤など)

当院ホームページ『ブログ』#13 スキンケア#14 赤ちゃんの皮膚とアレルギーマーチのページもご覧ください。

点眼薬(目薬)

点鼻薬

坐薬

当院ホームページ『ブログ』#24 坐薬の使い方のページもご覧ください。

貼付薬(貼り薬)

吸入薬

など

が当てはまります。

まずは塗り薬についてのお話です。

 

 

その塗り薬、薄く塗ってはいませんか?

肌荒れがあって小児科や皮膚科で塗り薬を処方されたとき、どのようにお子さんに塗っていますか?

「ステロイドはなんとなく怖いから(-_-;)」と、薄く塗ってはいませんか?

塗り薬の適正使用量については、FTU(フィンガーチップユニット)という考え方があります。

これは、「大人の人差し指の指先から第1関節まで取り出した軟膏・クリームの量(=1FTU)は、大人の手のひら2枚分の範囲を塗る量に相当する」というものです。

ローションを塗るのであれば、1円玉大くらい取り出した量が1FTU相当になります。

体の部位別・年齢別外用量は下の図が参考になります。

なお、薬を塗るときはすり込まずに、皮膚のしわに沿って塗り延ばしてください。

実際にこの量を塗ってみると、テカテカ光り、ティッシュペーパーが貼り付くほどになります。

「塗り過ぎかな?」と思うかもしれませんが、これが適切な量なのです。

湿疹、肌荒れは皮膚の炎症です。

症とは、「火事が起こっている状態 🔥」をイメージしてください。

今まさに火事が起きているのに、チョロチョロと水をかけていては、いつまでたっても火の勢いは収まりません。

 “十分な量の消火剤(=ステロイドなどの抗炎症薬)を使って、一刻も早く鎮火させる。”

このことが皮膚の状態を改善する上で最も重要です。

 

 

薬を塗る頻度・期間は適切ですか?

薬は1日2回、朝と入浴後に塗るのが原則です。

見た目に湿疹がなくても、触ってガサガサ・ザラザラしている間は皮膚の炎症が続いています。

肌がツルツル・スベスベの状態になって初めて、塗り薬を減らせるかどうかを考えます。

皮膚の状態が良くなったからといって薬を塗るのをやめると、それまで治まっていた肌荒れがぶり返してしまう、ということはよくあります。

自己判断で薬を減量したり中止したりせず、医師の指示の下で薬の使い方を決定しましょう。

薬の塗り方としては、次の2つの方法があります。

リアクティブ療法

症状が改善したら塗り薬を中止し、再度症状が現れたら薬を再開する治療法。

“悪くなったとき、悪くなったところに薬を塗る。” 

外用療法の基本的な考え方で、いわば「モグラたたき」。

 

プロアクティブ療法

症状が落ち着いていても、以前湿疹があったすべての場所に、(1日おきや週2回など)間歇的に塗り薬を使い続ける治療法。

何度も湿疹を繰り返す場合は有用性が高い。

🌟 症状が再発する前に予防的に塗ることになるから。

🌟 見た目ではわからないわずかな炎症も抑えるから。

薬を塗らない日を作ることで、ステロイドの副作用が出にくい利点もある。

ただし、完全に炎症を鎮めてから開始しないと症状が再発するため、注意が必要。

 

 

その湿疹、本当に様子見でいいですか?

湿疹などの肌トラブルは、それ自体が直接命に関わるというものではありません。

そのために、「もう少し様子をみようかな…」と受診のタイミングが遅れがちになります。

また、一旦症状がおさまると、受診を途中でやめてしまう方も多いです。

(まさに【喉元過ぎれば熱さを忘れる】で、大概症状が悪化したからと再度受診されます。)

ご存知の通り、「火事は初期消火が大事」ですよね。

それと同じように、肌トラブルも早く治療を開始することで、皮膚のダメージを小さく抑えることができます。

そして、 “火事” が起きにくい肌質に変えて、それを維持していかなくてはいけません。

しきりに体を搔きむしるお子さんの姿に目をつぶることなく、継続的に治療をしていきましょう。