#18 赤ちゃんの向きぐせと股関節脱臼
- 2024年8月4日
- こどもの病気
股関節脱臼って、何?
先天性股関節脱臼(発育性股関節形成不全)とは、脚の付け根の関節が外れる病気です。
「先天性」という病名がついていますが、ほとんどは赤ちゃんが生まれた後に後天的な要素が加わって起こるとされています。
発生率は1,000人に1~3人とまれですが、女の子の方が男の子よりも5~9倍多くみられます。
性別以外にも股関節脱臼を起こしやすい要因として次のものがあります。
● 遺伝的な要素
家族(特に母親や姉妹)に股関節の悪い人がいる場合。
● 胎児期の骨盤位(いわゆる逆子)
お母さんのお腹の中で膝が伸びた姿勢が長かったため。
● 寒い地域や時期(11月~3月)に生まれた赤ちゃん
足を伸ばした状態で衣服にくるまれることが多いため。
股関節脱臼の発見方法
赤ちゃんを仰向けで寝かせたとき、両脚はカエルのようにM字型に曲げられているのが自然な姿勢です。
一方、脚を伸ばした状態や立て膝の姿勢が長く続くと、股関節が外れやすくなってしまいます。
脱臼していても赤ちゃんは痛くありませんが、気づかないまま放置すると将来の歩行に問題が生じる可能性があるため、早期発見が重要です。
赤ちゃんに下記の症状がみられる場合は御相談ください。
● 仰向けで両脚を曲げた状態で外に広げたときに、脚の開きが悪くおむつ替えがしにくい。
● 脚の付け根のしわが深く長くなり、左右の脚でしわのでき方が異なる。
● 太もものしわの数や位置が左右の脚で異なる。
股関節脱臼の予防
赤ちゃんへの接し方に気を付けることで、股関節脱臼は予防することができます。
● おむつは赤ちゃんの脚の動きを妨げないように装着する。
● 赤ちゃんの足首をつかんでお尻を浮かせるようなおむつ交換はしない。
● 赤ちゃんに着せる衣服は、ゆったりした脚の自由度が高いものにする。
● 赤ちゃんの脚が閉じた状態での抱っこを避け、脚がM字型に開くような「コアラ抱っこ」を心掛ける。
向き癖と股関節
いつも顔が同じ方向ばかり向いている『向き癖』は約6割の赤ちゃんにみられるとされ、だいたい生後3か月頃に治ります。
「赤ちゃんの頭の形が悪くなるから」と向き癖を気にされるお父さんお母さんは多いですが、向き癖対策は股関節にとっても有意義です。
同じ方向ばかり向いていると体がねじれて、向きやすい方向とは反対側の脚(右向きが好きな赤ちゃんの場合は左脚)が立て膝状態になりやすく、その結果股関節脱臼を起こしやすくなります。
そのため早い段階から向き癖対策をすることは重要で、
● 向き癖と反対側から赤ちゃんと接する。
● 添い寝のときは、お母さんは向き癖と反対側に寝る。
● 向きやすい側が壁側になるように赤ちゃんを寝かせる。
● タオルや枕を向きやすい側の背中の下に敷いて、頭と体を少し持ち上げる。
● 横抱きするときは、右向き癖の場合は抱っこする方の右肘に(左向き癖の場合は抱っこする方の左肘に)赤ちゃんの頭を載せるように抱っこする。
などの方法が有効です。