#21 こどもへの薬の与え方~内服編②~
今回は前回に引き続き、お子さんへの飲み薬の与え方について、です。
(当院ホームページ『ブログ』「#20 こどもへの薬の与え方~内服編①~」のページもご覧ください。)
年齢別にみた服薬のポイント
乳児期(0歳)
新生児でも味の識別は可能といわれますが、乳児期は比較的内服させやすい時期です。
仮に無理やり薬を飲ませたとしても、あまり覚えていないことが多いです。
お腹がいっぱいだと薬を飲めなくなったり吐き出してしまったりするため、授乳前(空腹時)に与えてください。
薬をミルクに混ぜて与えると、味が変わって赤ちゃんがミルク自体を嫌がるようになる可能性があるため、避けたほうが良いでしょう。
幼児期(1~5歳)
薬に敏感になり、自我が出てきてしばしば服薬を拒否する時期です。
特に1~3歳頃が苦労する😨ので、後で述べるような工夫が必要な場合があります。
3歳以上になると、服薬の必要性をわかりやすく説明してあげれば理解できるようになってきます。
学童期(6歳~)
服薬の必要性を理解すれば、薬を飲んでくれる時期です。
5~6歳頃になると、錠剤を飲める子が増えてきます。
剤形別にみた服薬のポイント
シロップ剤
・薬を与える前に、泡立たない程度に容器を軽く振って、薬の成分を均一にしましょう。
・容器の目盛りを真横からみて、1回に与える量を正確に量りましょう。
・使用後は冷蔵庫で保管し、必要がなくなったら捨てましょう。
飲ませ方
・赤ちゃんであれば、空腹時に空の哺乳瓶の乳首に薬液だけを入れて飲ませます。
(薬液をミルクに混ぜると、味が変わってミルク嫌いになる恐れがあるため、避けてください。)
・乳幼児には、スプーンや小さめのコップで与える方法以外にも、服薬補助器具としてシリンジやスポイトを使って薬液を頬の裏側に流し込む方法もあります。
・誤嚥を防ぐため、必ず上体を起こした状態で飲ませましょう。
・幼児期では、薬液をパンやカステラに浸す、きな粉や粉末クリームに混ぜてペースト状にする、ヨーグルトやつぶしたバナナに混ぜる、などの方法もあります。
粉薬
飲ませ方
・赤ちゃんに対しては、薬にごく少量の白湯を加えてペースト状にし、清潔な指の腹で口の中(上顎や頬の内側)に塗りつける方法が簡単です。
味わう前に授乳して薬を飲み込ませるのがポイントです。
・少量の水を加えて液状にして、シロップ剤と同様に与える方法もあります。
・後述するような食品に混ぜる方法もあります。
錠剤
飲ませ方
・基本的には、水を一口飲み込んでから錠剤を口の中に入れ、水とともに飲み込みます。
・一度内服に失敗すると、恐怖心で錠剤を飲み込めなくなる可能性があります。
そのため慣れるまでは、まずごはん、パン、バナナなどの食品を口の中でよく嚙み砕き、飲み込む直前に錠剤を口に入れて水とともに嚥下させると良いでしょう。
混ぜると飲みやすくなる飲食物
“薬は水で服用するのが原則” です。
そうはいっても小さなお子さんに薬を飲ませるのはとても大変💦。
そんな時、飲食物と混ぜることで薬が飲みやすくなる場合があります。
どんなものと混ぜたら飲みやすいか、あらかじめ薬局で薬剤師さんから教えてもらうとよいですよ。
【薬を混ぜるときのコツ】
● 原則として、お子さんが食べた経験があり、好きなものを用いましょう。
ただし、ミルクや主食には混ぜないようにしましょう。
● 混ぜているところがお子さんに見つからないように注意しましょう。
● 食べ物に混ぜる場合は、均一に混ぜるのではなく、薬を挟んだり包み込むようにしましょう。
(サンドイッチやおにぎりの具のイメージです。)
● 水や飲食物と混ぜて長時間放置すると、薬が溶け出して効果が弱まったり、苦味が出たりします。
作り置きせず、用意したらすぐに飲ませましょう。
● 同じ食品を繰り返し使うとすぐに飽きてしまいます。
数種類の食品を朝・昼・夜で替えて用いましょう。
飲み物に混ぜる
牛乳、コーヒー牛乳、イチゴ牛乳
口の中に牛乳の膜ができるため、苦みを感じにくくなります。
一部の薬剤で、牛乳中のカルシウムと反応して吸収が低下するものがあるので注意が必要です。
乳酸菌飲料(カルピス®、ヤクルト®)
ココア、麦芽飲料(ミロ®)
薬剤の苦みをマスクするため、苦い薬に有用です。
ジュース(りんご、ぶどう)
オレンジジュースと漢方薬の組み合わせは苦みが生じ、相性が良くありません。
甘いものに混ぜる
メープルシロップ、加糖練乳(コンデンスミルク)
はちみつ
複数の研究で、夜間の咳に対するはちみつの有効性が示唆されています。
ただし、乳児ボツリヌス症発症の恐れがあるため、1歳未満には絶対に与えないでください。
ヨーグルト、やわらかいプリン、ゼリー、ムース、カスタードクリーム
きな粉、あんこ、黒糖
アイスに混ぜる
アイスクリーム(バニラ、チョコ、クッキー&クリームなど)
冷感によって味覚を感じにくくします(濃い味がおすすめ)。
特にチョコ味は苦みを隠すのに有効です。
消化器症状がある場合は控えましょう。
スプレッド(塗りもの)に混ぜる
ジャム(りんご、イチゴ、ブルーベリー)、ピーナッツクリーム、チョコクリーム
果物に混ぜる
バナナ、りんごのすりおろし
甘いのが苦手な場合は…
みそ汁、カレー、ポタージュ、海苔のつくだ煮、ふりかけ、マヨネーズ、たこ焼きソース など
熱により薬の成分が変わってしまう可能性があるため、熱いものには冷ましてから混ぜましょう。