#33 赤ちゃんをSIDSから守るために
- 2025年11月2日
- こどもの病気
乳幼児突然死症候群(SIDS)をご存知ですか?
今回は赤ちゃんがいる御家族だけでなく、もうすぐ赤ちゃんを迎える方にも知っていただきたいお話です。
11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されない、原則として1歳未満の児に突然の死をもたらした症候群」と定義されています。
言い換えれば、 “それまですくすくと元気に育っていた赤ちゃんが、何の前触れや病歴もないままに、ある日突然眠っている間に亡くなってしまう、原因の分からない病気” です。
生まれつきの病気や感染症、窒息などが原因での突然死は、SIDSに含まれません。

今から30年ほど前は、年間で500人以上の乳幼児がSIDSで亡くなっていました。
現在はその約1/10まで減少しましたが、2024年には55人がこの病気で亡くなりました。
これは同年における乳児期死亡原因の第3位にあたります。
年齢別では生後2~6か月に多いですが、1歳以上でもまれに発症します。
季節別に発症時期をみると、12月以降の冬期に多い傾向があります。
そのため、こども家庭庁は毎年11月をSIDS対策強化月間と位置づけ、啓発を行っています。
SIDSを防ぐには?
世界各国で様々な調査研究が行われ、次の3点に注意すればSIDS発症の危険性を低くできることがわかっています。
①1歳になるまでは、寝かせる時は仰向けに寝かせる

SIDSは睡眠中に起こります。
うつぶせと仰向け、どちらの体勢でも起こり得ますが、うつぶせ寝の方が発症率が高いです。
仰向けで寝かせると、当然赤ちゃんの顔は見やすくなるので、睡眠中の窒息事故を防ぐという点からも有効です。
Q.赤ちゃんが寝返りしてうつぶせ寝になったら、仰向けに戻さないといけないの?
A.米国国立衛生研究所および米国小児科学会によれば、 赤ちゃんが仰向け→うつぶせ、うつぶせ→仰向けのどちらでも自分で寝返りができるようになったら、仰向け寝の姿勢に戻す必要はないとされています。
大切なのは、
☑ 仰向けで寝かしつけること
☑ 寝返りした時に備えて、赤ちゃんの周囲に柔らかい寝具を置かないこと
です。

②できるだけ母乳で育てる

母乳で育てられている赤ちゃんの方が、SIDSの発症率が低いです。
無理のない範囲で母乳育児にトライしてみましょう。
※もちろん、ミルクで赤ちゃんを育てることを否定するものではありません。
③たばこはやめる

乳幼児の周囲で誰かがたばこを吸うことは、SIDSの発症率を高くします。
両親が喫煙者であると、非喫煙者の場合の4.7倍のリスクとされます。
また、妊婦自身の喫煙のみならず、妊婦の受動喫煙も赤ちゃんが生まれた後のSIDS発生要因になります。
こどもに関わるすべての大人は喫煙をやめましょう。
睡眠中の窒息事故にもご注意を!

窒息はSIDSの直接原因ではありませんが、睡眠中の予期せぬ突然死を防ぐために、睡眠環境を整えることは非常に重要です。
注意するポイントとしては、
☑ 大人用ベッドではなく、できるだけベビーベッドに寝かせる。
PSCマークが貼られたベビーベッド(国が定めた安全基準検査に合格した製品)を選びましょう。
☑ 一人の部屋で寝かさない。
☑ ベッドから転落しないように、柵は常に上げておく。
☑ 赤ちゃんの頭や身体がはさまれないように、周囲の隙間をなくす。
ベッド柵と敷布団・マットレスの隙間もなくしましょう。
☑ 敷布団・マットレスは赤ちゃん用の硬めのものを使う。
柔らかい寝具はうつぶせになった場合に顔が埋まってしまい、鼻や口がふさがれて窒息するリスクがあります。
☑ 赤ちゃんが寝る場所には柔らかいものを置かない。
枕やタオル、衣服、よだれ掛け、ぬいぐるみなどは近くに置かないようにしましょう。
口や鼻を覆ったり、首に巻き付いたりするリスクがあります。
☑ 布団を掛けるよりも、衣服や空調で温度調整する。
スリーパーや上下つながったタイプの服を使うのも良いでしょう。
などがあります。
赤ちゃんは一日の多くを寝て過ごします。
安全で快適な眠りができるように対策し、睡眠中の予期せぬ事故から赤ちゃんを守りましょう。