#34 どうなの?今年のインフルエンザ 2025/26|かとうベビー&キッズクリニック|醍醐駅すぐ京都市伏見区の小児科

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#34 どうなの?今年のインフルエンザ 2025/26|かとうベビー&キッズクリニック|醍醐駅すぐ京都市伏見区の小児科

#34 どうなの?今年のインフルエンザ 2025/26

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今回は、今まさに猛威を振るっている、インフルエンザについてのお話です。

当院ホームページ『ブログ』「#23 どうなの?今年のインフルエンザ 2024/25」の改訂版です。

#9 インフルエンザはインフルエンサー⁇」のページもご覧ください

 

 

どうなの? 今年のインフルエンザ

2025/26シーズンのインフルエンザは、京都府では第36週(9/1~)に、全国的には第39週(9/22~)に流行入りしました。

※1週間の1定点医療機関当たり患者報告数が、

 ■ 流行の目安;1を超えたとき

  注意報の基準;10を超えたとき

  警報の基準;30を超えたとき

しばらくは小流行の散発にとどまっていましたが、10月後半から一気に増え始め、京都府では第44週(10/27~)に注意報が、第46週(11/10~)には警報が発令されました。

2024/25シーズンが第46週(11/11~)に流行入り、第50週(12/9~)に注意報、第51週(12/16~)に警報だったので、昨シーズンに比べて1か月以上も早い大流行となっています。

現在流行しているインフルエンザのほとんどはA型(H3)によるもので、同じA型でも昨年末に大流行したH1 pdm09とは異なるタイプです。

なお、一部でA型(H1 pdm09)、B型の発生もみられています。

あまりにも早く流行し始めたため、ワクチンをまだ規定回数接種できていなかったり、接種した直後にかかってしまったという患者さんが多いのも今シーズンの特徴です。

2024/25シーズンは第52週(12/23~)に流行のピークを迎えました。

その後幸いにも学校・園が冬休みに入り、全国的に学校閉鎖したような状況になったため、年明けからは流行が落ち着きました。

一方、今シーズンは長期休みの1か月以上前から流行しているため、今後どこまで感染拡大するのか見通しが立ちません。

まだかかっていない方はもちろん、すでに罹患済みの方も別の型のインフルエンザを予防するためにも、早めにワクチンを接種しましょう。

● 不活化ワクチン(注射)の接種回数は、

生後6か月~12歳は2回、

(2週間はあけて)

13歳~成人1回。

● 接種2週後から予防効果が期待できます。

● 既にインフルエンザにかかってしまった方も、治癒後1~2週間経っていれば接種できます。

● 現在妊娠中の方も不活化ワクチン接種可能です。

 妊婦さん自身だけでなく、生まれた後の赤ちゃんへの効果も期待できます。

 

 

インフルエンザにかかってしまったら

まずは安静にしてしっかり休みましょう。

そして何でも構わないので、水分を十分に補給しましょう。

一般に、インフルエンザの感染期間(周囲に感染させる可能性がある期間)は発熱1日前~発症後7日目頃までとされています。

そのため罹患後の登校・登園再開の目安は、

①「発症後5日を経過」

発熱が始まった日は0日目と数える

②「解熱後2日(乳幼児の場合は3日)を経過するまで」

解熱した日は0日目と数える

上記①②の条件を両方とも満たす必要があります。

 

お子さんがインフルエンザにかかった場合、特に注意していただきたいのは “異常行動を起こす可能性がある” という点です。

急に走り出す、部屋から飛び出そうとするなど突飛な行動をとることがあるため、インフルエンザ治療薬使用の有無・種類にかかわらず、少なくとも発症後日間はお子さんの言動に気を付けてください。

万が一の事故を防ぐための対策例

  1. 玄関やすべての部屋の窓の鍵を確実にかける。
  2. ベランダに面していない部屋で寝かせる。
  3. 格子付き窓のある部屋があれば、その部屋で寝かせる。
  4. 一戸建てに住んでいる場合は、できる限り1階で寝かせる。

       

       

      インフルエンザ治療薬について

      インフルエンザの多くは自然軽快します。

      そのため、特別な治療薬を使用しないと治らないというわけではありません。

      ただ発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬の使用を開始すると、発熱期間を日間程度短縮し、ウイルス排出量を減少させる効果があるとされます。

      日本小児科学会では、

      幼児

      基礎疾患があり、インフルエンザの重症化リスクが高い患者さん

      呼吸器症状が強い患者さん

      に対して、抗インフルエンザ薬の投与を推奨しています。

      現在外来で処方する抗インフルエンザ薬としては、主に次のものがあります。

      オセルタミビル

      (タミフル®

      剤型;

       内服薬

       (ドライシロップ、カプセル)

      飲ませ方は、当院ホームページ『ブログ』「#22 こどもへの薬の与え方~内服編③~」参照。

      用法;

       1日2回×5日間を飲み切り

      販売開始;

       2001年2月

      副作用;

       下痢、嘔吐、発疹、低体温など

      特徴;

      ● 最も使用実績がある薬剤。

      ● 生後2週以降の新生児から成人まで幅広く利用可能。

        乳幼児、重症例・肺炎合併例では第一選択となる。

      ● より安価なジェネリック医薬品も販売されている。

      ●  “インフルエンザ罹患後の異常行動は本剤使用者に限った現象ではない” との判断の下、2020/21 シーズンから10代の副作用の記載は削除された。

       

      ザナミビル

      (リレンザ®

      剤型;

       吸入薬

      用法;

       1日2回×5日間を吸い切り

      販売開始;

       2000年12月

      副作用;

       発疹、下痢、嘔気・嘔吐、気管支けいれんなど

      特徴;

      ● 我が国で最も早く発売されたインフルエンザ治療薬。

      ● 気管支喘息や乳製品にアレルギーがある場合は推奨されない。

       

      ラニナミビル

      (イナビル®

      剤型;

       吸入薬

      用法;

       1回吸入で完了

      販売開始;

       2010年10月

      副作用;

       下痢、嘔気、蕁麻疹、めまい、気管支けいれんなど

      特徴;

      ● 気管支喘息や乳製品にアレルギーがある場合は推奨されない。

      ● 1回の吸入で治療が終了するため、確実な吸入が求められる。

       

      バロキサビル マルボキシル

      (ゾフルーザ®

      剤型;

       内服薬

       (錠剤、顆粒)

      用法;

       1回内服で完了

      販売開始;

       2018年3月

      副作用;

       下痢、嘔気、変異ウイルスの発生など

      特徴;

      ● 12 歳以上に対しては、他の治療薬と同等の推奨度。

        特にB型インフルエンザに対しては効果が高い。

      ● 低年齢児では本剤使用中に変異ウイルスが出現するリスクが高い。

       そのため、2025年10月時点で日本小児科学会は5歳以下の小児への積極的使用を推奨していない。

       

      治療薬比較① 使用回数

      —1日2回×5日間 vs. 1回だけで終了—

      内服薬のオセルタミビル(タミフル®)と吸入薬のザナミビル(リレンザ®)は、回を日間、最後まで使用し続ける薬剤です。

      一方、吸入薬のラニナミビル(イナビル®)と内服薬のバロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ®)は、回使用するのみで効果が得られるとされる薬剤です。

      病気のお子さんに薬を飲ませたり吸入させるのは御家族にとっても大きな負担です。

      そのため1回で完了する治療薬は大変魅力的✨に映りますよね。

      しかし “薬剤使用のチャンスが回しかない” ともいえるので、上手に薬を使用できなかったり症状がなかなか良くならない場合でも追加投与ができない、という側面もあります。

       

      治療薬比較② 使用方法

      —内服薬 vs. 吸入薬—

      内服薬のオセルタミビル(タミフル®)はドライシロップとカプセルが販売されており、新生児から成人まで幅広く利用できます。

      ※ドライシロップ;粉薬の一種で、水に溶かして飲むタイプの顆粒状の薬。

      内服薬のバロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ®)は以前は錠剤のみでしたが、2025年11月に顆粒が販売開始され、錠剤が飲めない患者さんの選択肢が広がりました。

      ザナミビル(リレンザ®)ラニナミビル(イナビル®)はともに吸入薬なので、特に5歳以下の乳幼児には使用が難しいことが多いです。

      この二剤はいずれも粉末の薬剤を吸入するタイプなので咳込みを誘発する可能性があり、呼吸器症状が強い場合や気管支喘息などの呼吸器疾患がある場合には注意が必要です。

      また、ザナミビル(リレンザ®)ラニナミビル(イナビル®)は乳蛋白を含む薬剤であるため、乳製品にアレルギーがある場合にはお勧めできません。