#37 もはや国民病? アレルギー性鼻炎②
今回は、前回に引き続きアレルギー性鼻炎のお話です。
(当院ホームページ『ブログ』「#36 もはや国民病? アレルギー性鼻炎①」のページもご覧ください。)
アレルギー性鼻炎の治療
前回ブログで記したように、アレルギー対策の基本は原因物質(アレルゲン)を避ける・減らすことです。
体内に入るアレルゲン量を減らす努力なしでは、下記の治療を行っても十分な効果は得られません。
薬物療法
アレルギー症状がひどくなってから薬を使用しても、高い効果は期待できません。
花粉症の方は花粉が本格的に飛び始める前に、または症状が少しでも現れたら、薬の使用を始めましょう。
抗ヒスタミン薬
薬剤名;
第1世代 (1980年以前に開発)
アリメジン®、
タベジール®、
ポララミン®、
ペリアクチン®、
アタラックスP®
など
第2世代 (1980年代以降に開発)
ザジテン®、
ゼスラン®、
ニポラジン®、
アレジオン®、
エバステル®、
ジルテック®、
アレグラ®、
アレロック®、
クラリチン®、
ザイザル®、
タリオン®、
デザレックス®、
ビラノア®、
ルパフィン®
など

● 最も使用頻度が高い薬剤。
● 主にくしゃみ・鼻水に効果的。
鼻づまりにもある程度効果がある。
● 市販薬にもその成分が含まれている。
● 第1世代と第2世代に分類され、第1世代は眠気や口の渇きが出ることがある。
そのため、副作用が軽減された第2世代を使用することが多い。
第1世代抗ヒ薬の脳への影響

1980年以前に開発された抗ヒスタミン薬である第1世代は、血液脳関門(血液と脳の間にあるバリア)を通過し脳内に移行します。
そのため傾眠(眠りがち)、ふらつき、インペアード・パフォーマンス(自覚のない集中力・判断力・作業効率の低下)を起こしやすくなります。
また、熱性けいれんのリスク上昇や持続時間延長を報告した研究もあります。
ゆえに特に熱性けいれんを起こしやすい乳幼児には、安易に処方すべきではないとされています。
鼻噴霧用ステロイド薬

薬剤名;
アラミスト®、
フルナーゼ®、
リノコート®、
ナゾネックス®
など

● くしゃみ・鼻水・鼻づまり、いずれにも効果的。
眼症状にも効果がある。
鼻症状に対しては、内服薬よりも効果が高いとされています。
● 安全性が高く、ステロイド薬としての副作用はほとんどない。
薬剤が鼻の粘膜から全身に拡がることはありません。
● 眠くなる副作用はない。
● ひどくなってからではなく初期段階から使用することで、症状を軽くすることができる(初期療法)。
● すぐに効果が現れないため、毎日続けて使用することが重要。
使い方は、当院ホームページ『ブログ』「#35 こどもへの薬の与え方~外用編②~」参照。
抗ロイコトリエン薬
(ロイコトリエン受容体拮抗薬)
薬剤名;
オノン®、
シングレア®、
キプレス®
など

● 鼻づまりに効果的。
くしゃみ・鼻水にもある程度効果がある。
● 効き始めまで1週間程度かかる。
● 喘息合併例では、喘息にも有効。
● 眠気を引き起こす成分は含まれていない。
⚠ 市販点鼻薬の使い過ぎに注意
血管収縮剤は即効性があり、点鼻するとすぐに鼻づまりを改善します。
ただし使い過ぎると鼻の粘膜が腫れ、かえって鼻づまりの悪化を引き起こすことがあります(薬剤性鼻炎)。
市販の点鼻薬の多くは血管収縮剤を含むため、繰り返し使う場合は注意してください。
アレルゲン免疫療法(減感作療法)

原因となるアレルゲンを少しずつ繰り返し投与することで、体のアレルギー反応を弱める治療法です。
徐々に体を慣らして体質を変える方法のため、治療終了までには数年以上(3~5年)を要します。
約7~8割に有効と考えられ、根本的にアレルギーが治る可能性もあります。

舌下錠(舌下免疫療法)ではダニとスギ花粉に対して、注射(皮下免疫療法)ではダニ・花粉・カビなどに対して、治療を受けることができます。
副作用のために薬物療法を続けられない方や、薬物療法だけでは症状が抑えられない方では、この治療法が考慮されます。
手術療法
薬物療法でも症状が抑えられない重症例(特に鼻づまりが強い場合)などに考慮される治療です。
鼻の粘膜をレーザーで凝固する下鼻甲介粘膜焼灼術などがあります。
小児の場合、適応となることはまれです。
アレルギー性鼻炎Q&A
① いつも鼻が垂れてるけどアレルギーなの?

通園中のお子さんには鼻水が出ている子が多いです。
でも、それがかぜによるのかアレルギーによるのかの判断に迷うことはよくあります。
アレルギー性の場合は、透明な鼻水が出ることに加えて、
🌟 くしゃみが多い
🌟 目や鼻をよくこする
🌟 いつも口が開いている
🌟 頻繁に鼻をすする
🌟 いびきをかく
🌟 鼻血が出やすい
などの症状が表れやすいです。
花粉飛散量が多い日に上記症状が強ければ、花粉症かもしれません。
② 赤ちゃんも花粉症になるの?
近年花粉症は低年齢化していますが、赤ちゃん(乳児)が花粉症を発症することは理論的に考えにくいです。
一方で通年性のアレルギー性鼻炎は、わずかながら乳児期に発症する可能性があります。
我が国の1歳半健診でのアレルギー性鼻炎の有症率が1.5%との報告があります。
③ 鼻水は放っておいてもいいの?
鼻水の中には中耳炎や副鼻腔炎の原因となる細菌などが含まれています。
また、鼻水がたまると呼吸が苦しくなったり、のどに垂れ込んで咳が出やすくなります。
そのため、できる限り鼻水は取り除いたほうが良いでしょう。
3歳頃になると鼻をかめることが多いですが、早ければ2歳頃からかめる子もいます。
片鼻ずつ、ゆっくりかむようにしてください。
自分で鼻をかめない場合には、大人の方が吸い取ってあげてください。
入浴直後は鼻水が軟らかくなっていて狙い目です。