#2 予防接種ノススメ①
- 2023年5月26日
- 予防接種
今回は予防接種についてのお話しです(当院ホームページ『診療内容』予防接種・シナジス注射のページも御参照下さい)。
このブログの2回目の話題に予防接種を選んだのは、それだけ重要性が高いから、です。
予防接種の歴史は、1796年にイギリスの開業医エドワード・ジェンナーが天然痘の予防法として種痘を発明したことに始まります。
当時天然痘はその死亡率の高さや様々な後遺症から非常に恐れられていた病気でしたが、ジェンナーが確立した牛痘種痘法をもとにした予防法が世界に広まり、1980年にはWHOが天然痘世界根絶宣言を行うまでになりました。
また、ルイ・パスツールも予防接種を語る上では外すことのできない重要人物です。
「近代細菌学の開祖」として知られるパスツールは、ジェンナーが考えた種痘法に「ワクチン」という名前を付け他の病気にも応用し、19世紀後半に様々なワクチンを開発しました。
当時は弱毒生ワクチンでしたが、その後病原体を無毒化し、より安全な不活化ワクチンが開発されました。
ジェンナーの発見から200年以上過ぎた現在も、私たち人類は感染症との闘いの真っただ中にいます。
感染症の原因は細菌やウイルス、真菌(かび)などいろいろありますが、今の医学でも有効な治療法が確立されておらず、多くの人の命を奪ったり重い後遺症を残すものも少なくありません。
そういった環境の中で、予防接種は今よりも医療や衛生環境が整っていなかった時代に、先人たちが知恵を絞って必死に作り上げてきた “武器” であり、 “遺産” なのです。
ワクチンは、感染症の原因となるウイルスや細菌を精製・加工することで、病原性を弱めたりなくしたりすることによって、体にとって安全な状態にしたものです。
ワクチンを接種することで、本当に病気にかかってしまう前に、その感染症に対する抵抗力(免疫)を作ることができます。
「ワクチンを接種するよりも、自然に感染したほうがしっかり免疫がつくから良いのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、自然感染による重症化や合併症、周囲への伝播(病気をうつしてしまうこと)、通院や入院することでの身体的・精神的・社会的・経済的負担などが生じる可能性があります。
せっかく数多くの人たちが作り上げて私たちにつないでくれた「ワクチン」という武器、遺産があるのに、それを使わない手はないですよね?
今世界で使用されているワクチンは、かかると治療が難しく、命を脅かす病気だからこそ作られたのです。
あなたを守るために、あなたの大事な人を守るために、そしてこの社会を守るために、予防接種を受けましょう。