#3 予防接種ノススメ②
- 2023年6月9日
- 予防接種
今回も前回に続き予防接種についてのお話です(当院ホームページ『診療内容』予防接種・シナジス注射のページも御参照下さい)。
2001年
定期接種;BCG、経口ポリオ、三種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風)、麻疹、風疹、日本脳炎、二種混合(ジフテリア・破傷風)
任意接種;水痘、おたふくかぜ、インフルエンザ、B型肝炎など
2011年4月
定期接種;三種混合、BCG、経口ポリオ、MR(麻疹・風疹)、日本脳炎、二種混合
任意接種;ヒブ、肺炎球菌、水痘、おたふくかぜ、インフルエンザ、B型肝炎など
2023年4月
定期接種;ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、ロタウイルス、四種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)、BCG、MR、水痘、日本脳炎、二種混合、HPV(ヒトパピローマウイルス)
任意接種;おたふくかぜ、インフルエンザなど
(NIID国立感染症研究所 日本の予防接種スケジュール過去の一覧より)
上に示したのは、2001年以降の我が国における予防接種スケジュールの変遷です。
私が医師になった当初は、定期接種として受けられるワクチンは7種類(8疾患)だけでした。
そのため日本は長きに渡り「予防接種後進国」といわれてきました。
しかしその後徐々に対象疾患が拡大し、2023年4月には11種類(14疾患)を定期接種でカバーできるまでになりました。
ここでいう「定期接種」とは、予防接種法に基づいて市区町村が主体となって実施するもので、定められた期間内であれば原則無料(公費負担)で接種できます。
もう一つの特徴としては、もし万が一接種後に健康被害が発生した場合でも、任意接種と比べて手厚い救済が受けられる点です(例えば不幸にも予防接種により亡くなった場合、定期接種なら4,530万円が支払われる一方、任意接種の給付額は754万円余り(2023年4月現在)です)。
このため、患者数が多い病気やかかると重症化する病気については定期接種化が進められてきた、というわけです。
また予防接種は「生ワクチン」と「不活化ワクチン」に大きく分かれます。
生ワクチンは生きたウイルスや細菌の毒性を弱めて病原性をなくしたものですが、副反応として元の病気を発症することがありうるため、ポリオのように生から不活化へ切り替えられたワクチンもあります。
「赤ちゃんが最初に小児科を受診するきっかけが予防接種」というケースは非常に多いと思いますが、そこで御家族の頭を悩ませるのがたくさんあるワクチンの種類とその接種間隔ですよね。
予防接種をする前に病気にかかってしまっては意味がないので、特に乳児期前半には多くのワクチンを接種する必要があります。
ただ、「どれが定期接種で、どれが生ワクチンで…」などと完璧に把握されている方は少ないでしょう。
予防接種の計画を立てる上で、最も確実なのは小児科で接種スケジュールの相談をしてもらうこと。
当院のWeb予約システムでは、お手持ちのパソコンやスマホから過去の予防接種歴を入力していただくと、当院でのワクチン接種後に自動で次回以降接種可能なワクチンをご案内いたします。
わずらわしいスケジュール管理に悩まされることなく、着実にお子さんの抵抗力をつけていきましょうね。