#6 赤ちゃんの視力
今回は赤ちゃんの視力についてのお話です。
「赤ちゃんはどの程度見えているのかな?」と疑問を持たれたことのあるお父さん、お母さんはたくさんおられると思います。
一般に生後1か月頃までの赤ちゃんは、目の前で何かが動くのがぼんやりわかるくらいの視力で、数字で表すなら0.01~0.03程度といわれています。
色の感覚はまだありませんが、明るいとか暗いはわかるので、突然明るくなるとまぶしそうにすると思います。
生後1か月~1か月半頃になると、授乳時などにお母さんの顔をじっと見つめるのがはっきりわかるようになり、生後2か月頃から赤や緑の色の区別ができるようになります。
生後2~3か月頃になると、人や物を目で追いかける『追視』ができるようになり、あやすと笑うというような反応が見られるようになります。
生後4か月頃からは、両眼を使って立体視をすることにより物の奥行きが分かるようになり、また青や黄色の区別ができるようになります。
視力は乳児期早期に急速に発達し、生後6か月頃には0.1~0.4程度、1歳半頃には0.25~0.5程度になり、3歳頃になると1.0程度で視機能が成人に近いレベルになります。
この頃になると絵などを使った視力測定が可能になるので、3歳児健診では視覚検査が導入されています。
弱視を早期発見するための検査(スポットビジョンスクリーナー)について
眼鏡をかけても視力が十分に矯正できない『弱視』は、こどもの約50人に1人とされています。
この数値、「思っていたよりも高い!」と思いませんか?
ヒトの視覚は幼児期に感受性が高く、6~8歳で視力の発達はほぼ終了します。
そのため、もし小学校入学前の健診で弱視が発見され、そこで慌てて治療を開始したとしても、視力の回復は難しくなります。
感受性の高い時期(いわゆる視力の成長期)ほど治療に対する反応が良いため、弱視は早期発見・早期治療が重要なのです。
当院では『スポットビジョンスクリーナー』という機器を使って、弱視の危険因子である近視・遠視・乱視・斜視・不同視・瞳孔不同がないか、迅速に検査することができます。
検査は生後6か月から可能で、年齢の上限はありません。
この検査はその有用性から、2022年7月以降、京都市の3歳児健診ですべての対象者に無料で行われるようになりました。
しかし弱視の早期発見・早期治療の観点からすると、3歳を待たずに検査されることをお勧めします。
スポットビジョンスクリーナー
対象年齢;生後6か月~
検査費用 1,100円(税込み)
以下の質問は治療が必要な病気のサインかもしれません。
気になる方はご相談ください。
● 目つきや目の動きがおかしい。
● 黒目が内側に寄る、外・上・斜め上にずれる。
● ひどくまぶしがる。
● ものを見るときに、頭を傾けたり横目で見たりする。
● 物に近づいて見る。
● 明るい屋外でも片目をつぶって物を見ることがある。
● 黒目の中心が白っぽく見える。
● 黒目の大きさが左右で違う。
● 目が揺れている。
● まぶたが下がっている。
● 親、兄弟姉妹に、弱視・斜視・生まれつき目の病気の人がいる。