#41 花粉症が治るかも⁉ アレルゲン免疫療法
アレルギー性鼻炎のこどもが増えています
以前このブログで取り上げたように、近年アレルギー性鼻炎・花粉症は低年齢化しています。
(当院ホームページ『ブログ』「#36 もはや国民病? アレルギー性鼻炎①」「#37 もはや国民病? アレルギー性鼻炎②」のページもご覧ください。)
2019年の全国調査によると、10歳代のおよそ2人に1人、5~9歳のおよそ3人に1人がスギ花粉症です。
そしてこの有病率は年々増加傾向にあります。

アレルギー性鼻炎の3大症状は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりです。
その他にも、目・鼻・のど・耳などのかゆみ、頭重感(頭が重く感じる)、不眠、倦怠感(体のだるさ)などの症状が現れます。
これらは命に関わるようなものではありません。
しかし、やる気や集中力の低下、イライラ感などを来し、ひいては勉強や仕事の成績悪化につながります。

アレルギー性鼻炎や花粉症は、一旦発症すると自然に治ることが困難です。
それゆえ患者が小児であれば、「数十年付き合わなければならない病気」ということになります。
アレルゲン免疫療法って何?
アレルゲン免疫療法(減感作療法)とは、「原因となる物質(アレルゲン)を少しずつ継続的に投与することによって、アレルゲンに接した場合に起こる様々な症状を和らげる治療法」です。
これは唯一の根本的な治療法で、アレルギー疾患の自然経過を改善させることが可能です。
具体的いうと、アレルギー症状を軽くしたりや治療薬の使用量を減らすことが期待できます。
約8割の患者さんで有効性が認められています。

⚠注意⚠
☑徐々に体を慣らして体質を変える方法のため、治療期間は長期にわたります。
通常、治療終了までに3~5年を要します。
対症療法のような即効性はありません。
症状が良くなったと思っても、すぐに治療を中止すると再発する可能性があります。
なお、効果があって治療を終了した場合でも、時間経過とともに効果が弱まる可能性があります。
☑ 治療開始にあたり、原因となるアレルゲンの確定が必要となります。
問診に加え、特異的IgE抗体検査または皮膚反応テストを行います。
☑ 投与開始初期にアレルギー症状が出やすいため、初回投与は医師の監督下で行います。

使用薬剤名
どちらの薬剤も室温保存です。
味やにおいはほとんどありません。
シダキュア®
スギ花粉症に対する舌下投与のアレルゲン免疫療法薬。
スギ花粉から抽出したアレルゲンエキスを含有。
ミティキュア®
ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する舌下投与のアレルゲン免疫療法薬。
室内塵ダニ(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ)より抽出したアレルゲンエキスを含有。
投与方法
薬剤を舌の下で1分間保持した後に飲み込む。

⚠ 注意 ⚠
☑ この薬には吸湿性があります。
そのため使用直前に乾いた指でシートから取り出してください。
吸湿性=空気中の水分(湿気)を吸い取る性質。
☑ 薬が欠けたり割れたりしている場合は、全量を服用してください。
☑ 薬は速やかに唾液で溶けてなくなります。
でもすぐには飲み込まないようにしましょう。
☑ 内服後5分間はうがいや飲食を控えましょう。
☑ 服用前・服用後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴などは避けてください。















主な副反応
投与開始初期(約1か月)に投与部位である口腔内に関連したアレルギー症状が出やすいです。
服用後少なくとも30分間および服用開始初期は特に注意が必要です。
またシダキュア®服用時は、スギ花粉飛散時期にも気を付けましょう。
口の中の腫れ、かゆみ、不快感、違和感
唇の腫れ
のどの刺激感、不快感、違和感
耳のかゆみ
アナフィラキシー(重篤な全身性の過敏反応)の可能性
など
治療を受けられない方(禁忌)
▼ 本剤の投与によりショックを起こしたことがある方
▼ 重症の気管支喘息の方
治療スケジュール
アレルギー症状出現の可能性を考え、日中に保護者見守り下で服用しましょう。
初回投与
~投与開始後1週間
スギ花粉症
シダキュア® 2,000JAU
1日1回1錠
ダニアレルギー
ミティキュア® 3,300JAU
1日1回1錠
※いずれの舌下免疫療法薬も、初回のみ医療機関で投与。
⇓
投与2週目以降
スギ花粉症
シダキュア® 5,000JAU
1日1回1錠
ダニアレルギー
ミティキュア® 10,000JAU
1日1回1錠
⚠ 注意 ⚠
スギ花粉飛散期には、シダキュア®の投与を新たに開始することはできません。
スギ花粉アレルゲンに対する過敏性が高まっている場合が多いため。
シダキュア®初回投与はスギ花粉非飛散期まで待って行います。
こんな時は服用を見合わせるべきかも
▲ 喘息発作時、気管支喘息の症状が激しいとき
▲ 急性感染症にかかったとき
▲ 体調が悪いとき
▲ 口腔内の術後(抜歯後など)
▲ 口腔内に傷や炎症などがあるとき
当院でもアレルゲン免疫療法を開始します!
当院でアレルゲン免疫療法を希望される方には、下記の項目を確認させていただきます。
お子さん自身が十分納得した上で治療を受けることが重要です。
☑ 長期間におよぶ治療を継続できるか
通常、治療終了までに3~5年を要します。
☑ 毎日治療を継続できるか
☑ 少なくとも月1回受診可能か
☑ 確定診断のための血液検査を受けられるか
☑ 小学生以上
既に他院でアレルゲン免疫療法を開始済の方も、当院で継続処方を受けることができます。
受診の際には、治療開始の根拠となった検査結果をお持ちください。

アレルゲン免疫療法についてのご相談は、平日午後の非感染外来をご利用ください。
なお、舌下免疫療法薬の初回投与は、投与後約30分間の院内待機が必要なため、17時受付終了とさせていただきます(土曜日は対応できません)。